本学は「大学スポーツSDGsプロジェクト」を推進しています。大学公式サイトで公開されたスポーツSDGsに関する活動数が、2024年度は153件に及んでいました。活動はSDGs17目標のうち16目標に広がっています。

大阪体育大学のSDGsの取り組みを17目標別に分類した円グラフ
◆2024年、特設ウェブサイトを開設
本学は2024年4月、「大体大スポーツSDGs」サイトを開設しました。藤本ゼミが2021年に実施した調査では、UNIVAS加盟大学ウェブサイトでSDGs専用ページがあるのは35%、17目標記載のスポーツSDGs関連活動の報告があるのは12%にとどまるといいます。大体大ではサイトを通じ、スポーツSDGsに関する取り組みをニュースとして情報発信しています。
◆【データで見る】 最多は「質の高い教育」
この153件の取り組みをSDGsの17目標別に分類した円グラフで見ると、最多は「質の高い教育をみんなに(目標4)」で、全体の43%。次いで「パートナーシップで目標を達成しよう(目標17)」が16%、「すべての人に健康と福祉を(目標3)」が15%。この上位3つで全体の17目標の76%を占め、大体大が「教育?共創(パートナーシップ)?健康」を主軸にSDGsを実践していることがわかります。
◆【教育×スポーツ】 学生が“教え方”を学ぶ、部活動改革の挑戦
教育に関する活動で、大体大が特に力を入れているのが、「運動部活動改革プロジェクト」です。同プロジェクトには2つの柱があり、「グッドコーチ養成セミナー」では、学生が「良い指導者とは何か」を探究。勝利至上主義を乗り越えるコーチング哲学を学び、中学校などで71人(2025年3月現在)が運動部活動の指導者として活動しています。
「運動部活動指導認定プログラム」では、社会人が運動部活動や地域スポーツクラブの指導者として必要な知識をオンラインで学び、指導方法を対面などで体験します。指導技術だけでなく、組織マネジメント、ジェンダー理解、心理的安全性の確保といった学びも重視されます。
<グッドコーチ養成セミナー>
<運動部活動指導認定プログラム>

グッドコーチ養成セミナーの修了生。中学サッカー部で指導している
◆【共に創る】 スポーツと社会をつなぐ「パートナーシップ型実践」
大学スポーツSDGsの特徴は、「学生だけ」で完結させないことにあります。大体大では、企業やNPO、行政と協働しながら、社会にインパクトを与えるプロジェクトの取り組みを進めています。
代表的な事例が、「スポーツ廃棄物再生」プロジェクト。使われなくなったバットやボールをリサイクルまたはリユースする取り組みです。このプロジェクトは、目標12(つくる責任つかう責任)や目標10(人や国の不平等をなくそう)にもリンクする複合的な実践といえます。
<大体大で進む「スポーツ廃棄物」再利用>

スポーツマネジメント専攻の学生3人が廃棄バット再生利用グッズの「かっとばし!!」を制作、硬式野球部に贈呈した

寄贈されたボールを手にする熊取町の中学生
◆【スポーツ×健康?福祉×地域】 誰一人取り残さない運動支援も
本学では、「健康と福祉」への貢献に関してスポーツ大学ならではの取り組みが目立ちます。地域の中高齢者の体力増進?健康づくり活動を支援する「体力若返り講座」、障がいのある生徒と本学の学生が一緒に活動し、スポーツの楽しさを伝える「わくわくアダプテッド?スポーツクラブ」、学生が東日本大震災の被災地で子どもとのスポーツ交流や高齢者への体力測定などに取り組む福島復興支援「サンライズキャンプ」などを実施。学生たちは、地域の高齢者や障がい者、子どもに向けて、誰でも取り組める運動プログラムを実施しています。
<体力若返り講座>
<わくわくアダプテッド?スポーツクラブ>
<福島復興支援「サンライズキャンプ」>

体力若返り講座で参加者をサポートする健康科学コースの学生

わくわくアダプテッド?スポーツクラブで教育学部の学生とスポーツを楽しみ、笑顔が弾ける支援学校の生徒
さらに、女性の学生アスリートが生理や更年期を理解し、スポーツと身体の関係性を学び、自身の活動と未来のキャリアにつなげる活動も行われています。
<アスリートと月経セミナー>

「アスリートと月経」セミナーに参加した陸上競技部投てきブロックの男女
【まだ見ぬ実践へ】 「可視化されていないSDGs活動」の可能性
153件の活動は、大学の公式サイトに掲載されたもので、「可視化された活動の集計」です。実際には、クラブ活動の日常的な地域清掃や、ゼミ活動の一環で行われる地域支援、小規模なイベント協力など、記録に残されていない実践が多数存在しています。
「大学スポーツSDGsプロジェクト」を推進している藤本淳也教授は「今後は、これらを拾い上げて社会に発信していく“大学スポーツのアーカイブ化と社会的インパクト可視化”が大きな鍵になる。クラブ活動が社会貢献の起点になり、ゼミ活動を地域とつながる実験場にするような“共創型大学”を目指したい」と話しています。

藤本淳也教授
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